暑さ指数を知って熱中症対策!WBGTで適切な暑さ対策
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夏バテ、熱疲労、熱中症……。毎年、猛暑日が増え、熱中症による健康被害が深刻な問題となっています。
気温が高いと体温調節が難しくなり、熱中症のリスクが高まります。しかし、気温だけでは実際の暑さを正確に把握できません。湿度が高かったり、日射が強かったりすると、体感温度は気温よりもずっと高くなるのです。
そこで注目されているのが、「暑さ指数」WBGT(Wet Bulb Globe Temperature)です。
WBGTは温度、湿度、輻射熱、風の影響を総合的に評価し、人体に与える熱負荷を示す指標です。
本記事では、WBGTの仕組みと活用方法、暑さ対策について解説します。
熱中症指数とは
熱中症指数または暑さ指数(Wet Bulb Globe Temperature: WBGT)は、気温、湿度、輻射熱、風速を総合的に考慮した指標です。
従来の熱中症対策では、気温のみを指標としていました。 しかし、気温だけでは、体感温度を正確に把握することができません。
例えば、湿度が高い場合は、汗が蒸発しにくくなり、体感はより暑くなります。 また、日射が強い場合は、日陰でも体感温度は高くなります。
WBGTについて
WBGTは温度、湿度、輻射熱(黒球温度)、風の影響を考慮した指標で、人体に与える熱負荷を示し、実際に体が感じる暑さをより正確に測定するために用いられます。
WBGTの値が高いほど熱中症のリスクが高まります。
WBGTは国際的に広く採用されており、特にスポーツ活動や労働環境の安全管理に役立っています
例えば、日本の気象庁や多くの企業では、WBGTを基に熱中症の警戒レベルを設定しています。
一般的なWBGTの危険度基準は以下の通りです。
- 21℃未満 : 運動能力の低下はほとんどない
- 21〜25℃ : 注意が必要。継続した作業は熱疲労を招く
- 25〜28℃ : 高温注意。熱中症の予防対策が必要
- 28〜31℃ : 高温警戒。積極的な休憩が必要
- 31℃以上 : 危険。原則作業中止
体感温度
体感温度は、気温だけでなく、湿度や風速など複数の要因が組み合わさって感じる温度です。WBGTはこの体感温度をより正確に反映しており、気温だけで判断するよりも、より現実的な暑さ対策を講じることができます。
WBGTの算出方法
WBGTは、以下の式で算出されます。
WBGT = 0.7 * T + 0.3 * ⊿Tn + 0.2 * globe - 0.04 * RH熱中症指数
- T:気温(℃)
- ⊿Tn:黒球温度(℃) - 気温(℃)
- globe:黒球温度(℃)
- RH:相対湿度(%)
黒球温度は、太陽光などの輻射熱を考慮した温度です。 相対湿度とは、空気中の水蒸気の量を、飽和水蒸気量に対する割合で表したものです。
温度と暑さ
気温は暑さを感じる最も直接的な要因です。
気温が高いほど体から熱を放出しにくくなり、体温が上がりやすくなります。
高温環境下では、体温調節機能が追いつかなくなり、熱中症のリスクが高まります。特に気温が35度を超えると、外出や屋外活動は非常に危険になります。温度が高いほど、体の負担が大きくなるため、体温を下げるための対策が必要です。
湿度と暑さ
湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、体温調節機能が低下します。
一般的に湿度60%以上になると不快指数が高くなり、
湿度70%以上では汗が効率的に蒸発しないため、体感温度が実際の気温よりも高く感じられ、熱中症のリスクが増加します。こまめな休憩と水分補給が重要になります。
輻射熱と暑さ
日射による輻射熱も体温上昇の一因です。
輻射熱は、太陽からの放射熱や地面、建物からの放射・反射される熱です。直射日光下やアスファルトの上では、実際の気温よりもさらに暑さを感じることがあります。
西日が当たる部屋や上階は夕方、夜まで室温が高く、熱中症の危険が高まります。
気流と暑さ
風が吹くと汗の蒸発が促進され、体温が下がりやすくなります。
逆に気流が少ない環境では、体感温度が上昇しやすく、熱中症のリスクが高まります。
風通しの良い環境を保つことが重要です。
WBGTからみる暑さ対策
暑さ指数である温度、湿度、輻射熱、通気の対策をすれば暑さを和らげることができます。
温度
室温が高く暑い場合はエアコンで室温を下げましょう。
湿度
湿度が高い場合もエアコンで温度を下げ、それでも湿度が高い場合は除湿器を使用しましょう。
輻射熱
- 輻射熱から暑さを避けるために少し工夫が必要です。
- サンシェードやカーテンで窓からの日射取得を減らします。窓の内側のカーテンよりも外で対策するサンシェードがおすすめです。また断熱性の高い複層ガラスや遮熱フィルムで窓からの輻射熱の侵入を低減できます。
- 日が沈んでから壁や地面に打ち水をして温度を下げます。
- 家の断熱性能を見直し、外壁や屋根の断熱性を高めます。
- エアコンを付けることで壁や天井の温度上昇を抑えられるため、輻射熱の軽減につながります。
- 2階最上階の暑さは、屋根裏に熱がこもらない様に対策が必要です。天井断熱ではなく屋根断熱にしたり、2階から天井にファンをつけて屋根裏の熱を排出したりします。
気流
扇風機やサーキュレーターで風の流れを作り、熱がこもるのを抑え、室内に蓄積された熱を外に逃がし、湿度を下げ、輻射熱の影響も和らげることができます
風鈴の音から風の流れを感じるのも良い方法です。
【まとめ】
WBGTは温度、湿度、輻射熱、風の影響を考慮した暑さ指数です。
WBGTの値が高い日は熱中症リスクが高まるため、積極的な水分補給や休憩、日陰利用などの対策が不可欠です。環境によって暑さの感じ方は異なるため、状況に応じた柔軟な対応が求められます。
WBGTを参考に、自身に合った適切な暑さ対策を心がけましょう。
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